この いえの しゅじんは アミーという おんなのこです。

ある あさ アミーが カプチーノで ひといき ついて いたとき。

コツ コツ と だれかが ノック しました。

「はあい。どなたですか?」

アミーが ドアを あけると そこには、 ねこが たって いました。

ねこは りょうてに こむぎこを もって いました。

「おはようございます。わたしは ミッテイ。ビスコッティけから まいりました」

「まあ。かわいらしい。わたしは アミーよ」

ミッティは、ふさふさした しっぽで

パタンと じめんを たたいてから、アミーを みやりました。

「それで、はいっても?しょうしょう おじかんを いただきたいのですが」

「ええ、どうぞ。ちょうど、おちゃの じかん ですから ごいっしょに」

アミーと ミッティは ふたりで カプチーノを のみました。

ミッティは おちゃうけの クッキーに てを のばし、 ひとつ たべました。

「ふむ。サクサク こうばしい。おりょうりは おじょうず なのですね。まずいな。しかし しっかり こなの あじが する。これは よい」


「あの、おくちに あいませんか?」

「これは しっけい。とても おいしい クッキーです」

ミッティは てを なめて きれいに しました。

「はなし、というのは、この こむぎこで パンを やいて いただきたいのです」

ミッティは おおきな めで アミーを じっと みつめました。

しなさだめを している め です。

「おやすい ごようよ。わたし、おみせで うれる くらい じょうずに やけるわ」

「いいえ、そうではないのです。わたしが たべたいのは およそ じょうずに やけたとは いえない パンです。とっても かたいのです。あごが つかれる くらいに。けれど しっかり かめば かむほど こなの あじが するのです」

「まあ、それが あなたの このみなのね」

「ええ、とっても」

アミーと ミッティは さっそく エプロンをして、パンづくりを はじめました。

「よけいな ざいりょうは いれないで、はっこうは ひかえめに してみましょう」

アミーは てぎわよく ざいりょうを まぜ、きじを こねました。

ミッティも こなを ふるったり テーブルを ふいたり しました。

パンを はっこう させている あいまに ふたりで ランチを して、やいている あいまに エスプレッソを のみました。

こうばしい においが たちこめて きました。

「さあ、やけたわ。すこし さましたら、あじみを してみましょう」

ミッティは とても ドキドキ している みたい。

めが まんまるく なっています。

ガリッ ガリッ

パンは かたい おとを たてました。

「あっ。こなの あじが しっかり します。でも、かたさが たりない」

ミッティは ざんねんそうに みみを たらしました。

「ミッティ、あすも きて ちょうだい。もういちど やいて みたいの」

ミッティは アミーを みつめ、こっくりうなずきました。

つぎの ひ。

アミーは くふうして、いちど やいた パンを、もういちど やいて みました。

ミッティは そのあいだ、ゆかの ふきそうじを していました。

「さあ、ミッティ。じしんさくよ」

ミッティは もうしわけ なさそうに、あいそわらいを して、パンを かじりました。

ガリッ ガリリッ ガリガリッ

「ああ、かたい。はが おれそう。これです、この かたさです」

ミッティの め から ボロボロと なみだが こぼれ おちました。

「この こなの あじ。おばあさんの パンの あじです。おばあさん、おばあさん、なぜ ぼくを おいていってしまったの」

ミッティは パンを ほおばりながら たくさん なきました。

「ねえ、ミッティ。これからも まいにち やいて あげる。だから わたしと いっしょに くらしましょう」

ミッティは びっくりして なきやみました。しっぽが ビリリと まっすぐ うえを むいています。

「ええ。でも たまにで いいんです。わたしの はが おれて しまいますから」

ミッティは めを みかづきの ように ほそめて いいました。

それから ミッティは アミーけの ねこに なりました。